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肝臓の解剖生理と区域

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消化器

こんにちは

臨床検査技師のすみこ(@sumiko1020)です

今回は肝臓の解剖生理について詳しく説明します

 

肝臓の解剖、大きさ、位置

肝臓の解剖

肝臓は肝実質細胞(肝細胞)と肝非実質細胞(伊東細胞、胆管上皮細胞、血管内皮細胞)からなっています。

肝細胞が集まったものを小葉と言います

肝臓は肝小葉とそれを取り囲む結合組織(グリソン鞘)により形成され、その中心部には中心静脈を認めます

また、グリソン鞘内には胆管と門脈、肝動脈が走行しています

 

 

重さ

男性1,000g〜1,300g

女性900g〜1,000g

位置

右上腹部を占めるように位置します

上面は横隔膜の下面に沿うようにあり横隔面とも呼ばれます

下面は右季肋部~心窩部に至り、結腸、胃、右腎など多くの臓器と接していることから臓器面とも呼ばれます

肝臓の大部分は腹膜(漿膜)に覆われていますが、上部の背面側(右葉後区域上部【S7】)には腹膜がなく、横隔膜に付着しています。(無漿膜野)

FASTのエコー像(右胸腔、左胸腔) | 看護roo![カンゴルー]
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無漿膜野に液体貯留があったら右胸水を考えよう

 

 

肝臓の働き

肝臓は大きく3つの働きをしています

物質の合成、代謝、栄養の貯蔵

蛋白、脂質、糖質の代謝、ビリルビンの合成を行います

蛋白、アミノ酸代謝

1.アミノ基転移

2.尿素生成

3.血漿蛋白生成

脂質代謝

1.リポ蛋白生成

2.コレステロールの生合成

3.脂肪酸分解

糖質代謝

1.血糖の調整(グリコーゲンの生成、貯蔵)

2.エネルギー生成(解糖系、TCA回路)

 

胆汁の生成

胆汁は肝臓で1日あたり500〜1500mL分泌されます

分泌された胆汁は胆細管→肝内胆管→左右肝管 → 総肝管→(胆嚢)→総胆管を通り最終的にVater papillaより十二指腸に分泌されます

 

解毒作用

1.アルコールや薬物の無害化

2.ビタミン、ホルモンの活性、不活性化

3.細菌を殺菌

肝臓の区域

超音波検査では腫瘤の位置も重要な所見にあるので、しっかりと区域を分けれられるようにしましょう。

肝臓は解剖学的区分と臨床的区分がありますが、脈管の走行と関係し、病変の局在と治療に直結するため、臨床的区分の方を使用します。

臨床的区分にはCouinaud分類とHealey &Schroy分類が広く用いられています。

Healey &Schroy分類

Healey &Schroyの分類法は門脈の分岐を軸に左右両葉を2区域に分ける方法です

これにより外側区域、内側区域、前区域、後区域の4区域に分類します

もしくは内側区域を尾状葉、方形葉に分け5区域に分類したものを言います

Couinaud分類

Couinaud分類ではHealey &Schroy分類の外側区域、前区域、後区域を上下に分け、8つの亜区域(S1〜8)に分類します

超音波所見でも使用される分類ですので区域の名前と位置は一致させておきましょう

 

      

Couinaudの亜区域分類方法

区域は血管や靭帯などを目安に区分できます

超音波検査を行う際は以下を参考に区域を判断しましょう

尾状葉(S1)と内側区域(S4)

門脈横行部

左葉前外側区域(S3)と後外側区域(S2)

左肝静脈、門脈枝P2とP3

肝左葉外側区域(S2/3)と内側区域(S4)

肝鎌状靱帯(falciform ligamentum)、肝円策、矢状裂溝、静脈管策、門脈左枝臍部

右葉(S5/8)と左葉(S4)の区分

肝主葉裂溝、中肝静脈

肝主葉裂溝は胆嚢窩と下大静脈を結ぶ仮想の線(Cantlie’s line)にも一致するよ

右葉前区域(S8/5)と後区域(S7/6)

右肝静脈

右葉前上区域(S8)と前下区域(S5)

門脈枝P8とP5

右葉後上区域(S7)と後下区域(S6)

門脈枝P7とP6

実際のエコー像

区分を覚えられたらエコーでの描出像を覚えましょう

各走査での描出部位を覚えるとだんだん立体的に考えられるようになりますよ

右肋骨弓下走査(門脈)

 

 

右肋骨弓下走査(右肝静脈)

 

右肋間走査(門脈枝P5P8)

 

 

描出困難領域

健常な人を検査しても超音波検査では肝臓の死角(描出困難領域)が10%はあると言われています。

①右葉ドーム下

②辺縁の左葉外側先端

③右葉下端

 

①、②はそれぞれ肺や消化管のガスの影響により描出が困難になりやすい箇所です。

この他に、肝表面も肋骨によるブラインドや多重反射によるアーチファクト、消化管が肝臓の上に位置している場合は消化管のガスの影響を受け描出が難しくなります。

③の右葉下端(S6)はガスなどの影響を受けることは少ないですが、検査時に術者の技量により見落としやすい場所となっています。右肋骨弓下走査だけでなく、右肋間走査でも丁寧に観察する必要があります。

 

まとめ

いかがでしたか?

解剖を知っているとのいないのでは、見落としや病原の発見率に大きな差がでます

また、腫瘍の位置の特定は治療において重要な役割を果たすので、自分がどの区域を描出しているのか意識しながら日頃の検査をやることが大切です。

腫瘍や疾患の勉強も必要ですが、まずは基本的なことからしっかりと勉強しましょう

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